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アルコール・アディクション医学会 編集後記を担当

 理事を務める、日本アルコール・アディクション医学会の発行誌の中で、編集後記を担当することになりました。

10月に行われる大会では、アルコール診療の多職種連携を発展させるためのシンポジウムオルガナイザーを任されました。以下、編集後記の内容です。

ウクライナ戦争の影響により、ウクライナ国内ではアルコール摂取量の増加が報告されています。精神科医によると、多くの国民がPTSDを抱え、不安や緊張を和らげるためにアルコールを飲むケースが増えているそうです。

一方、ロシアではウォッカの売り上げが過去最高を記録し、アルコール依存症の患者数が増加しています。専門家は、軍事作戦が続く限り、アルコール消費はさらに増えると予測しています。

戦場の兵士がアルコールをストレス解消の手段として使用することもあります。例えば、ベトナム戦争では兵士に毎日缶ビールが支給され、戦闘の恐怖を紛らわすために広く飲まれていました。また、イラク戦争やアフガニスタン侵攻に従軍した兵士の間でも、アルコール依存症の発症率が高いことが報告されています。

日本では、お酒は“百薬の長”といわれ、上戸の人を“我が意を得たり”とばかりに勢いづかせたり、またある時は“万病の元”の汚名を着せられながら、人頻の歴史と共に今日まで脈々と継承されてきた貴重な文化遺産といえるのではないでしょうか。

お酒の功罪は、いつの時代も議論される永久のテーマです。2025年10月23日~25日には、上村公一大会長のもと第60回学術総会が開催されます。激動の世相の中、改めてお酒のあり方や健康・社会への影響について皆様と考え直したいと思います。