体幹部をいかに鍛えるか
生活習慣病や脂肪肝を体の中から治すことを考えた場合、いかに体幹部の筋肉を鍛えられるかが鍵になります。この時期に、脂肪肝が悪くなり、体幹部や臀部の脂肪量が多くなることをお話ししましたが、次にいかに体幹部の脂肪量を減らし、筋肉をつけていくかが重要になってきます。
まず、来年1月に第28回病態栄養学会で発表する私のデータを示します。肝脂肪量を評価するFiboScanのCAP値とCTにおける筋肉の量を比較した結果、肝脂肪がつく状態では、体幹部の筋肉量と質が低下していることがわかりました。特に背骨を両側から支え上半身と下半身を連動させる腸腰筋と、背骨の背側から支える脊柱起立筋の筋肉量と筋肉の質が、脂肪肝の改善に重要であることがわかりました。体の中でも基礎代謝の関わる大きな筋肉でありながら、上半身と下半身を連動させ、サルから人間の2足歩行に進化する過程においても、重要な筋肉であると考えられています。
では、どのように鍛えればいいのでしょうか。体幹部を鍛える場合、抗重力筋なる重力に逆らう筋肉、つまり地面に伝えて跳ね返った力を感じ取る筋肉の伝わり方が重要です。平地をゆっくりと談笑しながら皆で歩く会は、気分転換はできても全く有効な筋肉をついていません。ピッチや歩幅を上げ、可能ならば階段や坂道などの上下に負荷がかかる動きは有効です。縄跳びやトランポリンなどもいいかもしれません。運動としては、ヒップリフトやレックランジといったトレーニング法をすすめています。ただし、運動不足の方がいきなりこうした運動をはじめると、腰や膝を痛めてしまうこともあります。以前に私が行っていた肝臓病教室では真向法という股関節を含めた柔軟ストレッチ法をインストラクターの実践のもとに行っていました。つまり、股関節骨盤部を意識したストレッチや柔軟体操でも筋肉がつきますし、はじめはこうした動きからで十分です。筋肉トレーニングした後も、必ず柔軟やストレッチをして、硬くなった筋肉をほぐしてから次のトレーニングに繋げることが鉄則です。
これから寒くなり外出して体を動かすのが難しい時期に入ってきます。是非参考にしていただき、効率よく自身の体の健康管理をすすめていきましょう。