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 健康運動指導士講習8日目

令和4年の平均寿命と健康寿命のデータが提示されました。男性は平均寿命81.05歳に対して健康寿命72.57歳、女性は87.01歳に対して75.45歳。どちらも“はじめて低下した”という事実。コロナ禍による寿命の低下が浮き彫りになりました。令和7年が上昇に転じるかが注目されています。

運動の話題では、普段運動していない人がいきなり6METs以上の強度で身体活動を行うと、心血管イベントのリスクが上昇するという指摘が印象的でした。「運動は良いもの」という一般的なイメージの裏側に、個々の体力や習慣に合わせた慎重なアプローチが必要であることを改めて突きつけられました。また、減量のプロセスでは、体重が順調に落ちたあとに必ず訪れる停滞期がありますが、これは意志の問題ではなく、体のホメオスタシスが働いているだけだという説明も腑に落ちました。患者さんに伝えるときにも、この“体の正常反応”という視点は大きな安心につながります。

運動の種類に関する話では、等尺性運動が血管を押し付けるような形になりやすく、血圧が上昇しやすいという点が強調されました。ストレッチについても、関節を伸ばすというより筋膜を伸ばす動きであるという視点が示され、普段何気なく行っている動作の意味を改めて考えさせられました。

そして今日の学びの核心ともいえるのが、運動指導における「self‑efficacy(自己効力感)」の重要性。「自分ならできる」と感じられるかどうかが、行動変容の成否を大きく左右し、知識を伝えるだけではなく、その人が自分の力を信じられるように支えることこそが、指導者の役割だと感じました。

さらに、健康づくりのアプローチとして、危険度の高い集団に予防的介入を行う“ハイリスクアプローチ”と、集団全体の環境を整える“ポピュレーションアプローチ”を適切に組み合わせる重要性も学びました。この考え方は、日常診療に加えて3〜4か月に一度「健幸教室」を開き、生活習慣の注意点を伝えている当院のスタイルと重なります。講義内容が、自分たちの診療理念と連動する感覚があり、学びがそのまま実践につながる手応えを感じた一日でした。