熱中症アラートと室内運動の推奨はワンセット
2025.07.10
猛暑日が続くこの季節、ニュースで「熱中症警戒アラート」の文字を見ることが増えました。環境省と気象庁が共同で発表するこのアラートは、暑さ指数(WBGT)が31を超える場合に発令され、人々の行動制限や注意喚起を促すものです。WBGTとは、気温・湿度・輻射熱などを総合して算出される“体感的な暑さ”の指標。熱ストレスを科学的に評価するために使われており、気温だけでは見えない暑さの実態を捉えるのに役立ちます。度々ニュースで見るうちに違和感を覚えるのは私だけでしょうか。まず発表単位が「都道府県」では暑さの実感とズレることがあります。そして、「外出を控える」「水分・塩分補給」といった一辺倒の行動指針が繰り返され、もう一歩、具体的な健康支援策があってもいいのではないかと思います。
筋力の増強や維持が、熱中症対策に重要であると考えられ、室内でできる筋トレや簡単な運動を紹介すべきであり、これは熱中症アラートの外出制限とワンセットではないかと考えています。当院では、室内で体幹部を鍛える運動、エクササイズバンドで腸腰筋を鍛える方法など、暑い夏を乗り切る方法として室内運動の仕方を提案しています。
イタリアではスマホアプリで個別に熱中症警戒を通知するシステムがあります。こうしたアプローチは、日本にも応用可能ではないでしょうか。たとえばInBodyなどの体組成データを活用し、筋量・水分量・基礎代謝に応じたオリジナルの運動メニューや熱中症対策を提供できる仕組みが整えば、熱中症アラートは単なる「警告」から、「健康行動のきっかけ」へと進化していくはずです。科学的根拠に基づく実効性のある体調管理や夏の猛暑対策が、結果として有効な生活習慣病予防に繋げられるのではないかと感じます。