福澤諭吉と北里柴三郎 北里英郎先生のご講演を拝聴して
2025.10.04
今日、母校・慶應義塾幼稚舎の自尊館で、北里英郎先生のご講演を拝聴する機会に恵まれました。北里先生は、北里柴三郎のひ孫にあたる方。慶應義塾幼稚舎をご卒業後、微生物学を専攻され、北里大学名誉教授、藤田医科大学客員教授として長年にわたり教育と研究に尽力されてきました。
講演では、福澤諭吉先生と北里柴三郎の関係について、単なる支援者と研究者という枠を超えた、理念と実践が響き合う深い友情の物語が語られました。
印象に残ったのは、「牛乳瓶事件」の逸話です。福澤邸に届けられた牛乳瓶に汚れがあったことに、福澤先生は烈火のごとく怒り、北里柴三郎を厳しく叱責したそうです。その手紙を北里柴三郎は額に入れ、研究所に掲げて自戒としたそうです。友情とは、信頼ゆえの厳しさでもある。この話に、深い感銘を受けました。
また、「福澤先生の恩顧を蒙ったことは門下生以上である」と語り、福澤先生の死後、その遺志を継いで慶應義塾大学医学部初代医学部長に就任されたことも紹介されました。その言葉には、理念を受け継ぐ者としての覚悟と感謝が滲んでいました。
昨年、当クリニックを開業した年は、奇しくも日本の紙幣が刷新された年。一万円札の福澤諭吉から、千円札の北里柴三郎へ、理念のバトンが静かに渡された年でもありました。
「熱をもて、誠をもて」これは北里柴三郎の言葉です。人に熱意と誠意があれば、何事も達成できる。その信念を胸に、明日からの診療に励んでいきたいと思います